静脈認証システムの歴史

盗難やスキミングなどのカード犯罪の対策として、生体認証というシステムが開発されました。この中で、殊に静脈認証システムと指静脈認証に分類されます。クレジットカードやキャッシュカードの磁気情報を不正に読み取るスキミングの被害拡大や、個人情報保護法が完全施行されたことで、生体認証装置を導入する銀行が増加しています。

国内では富士通が手のひらの静脈による認証装置、日立製作所が指静脈による認証装置を販売し、韓国大手のテクスフィアも手の甲の静脈を使う認証装置で国内市場に参入しました。

東京三菱銀行は04年偽造カードや盗難カードの利用防止に向けていち早く手のひら静脈認証装置をATMに搭載。各ATMにこのシステムが導入されれば、キャッシュカードの不正利用を撲滅されると大きく期待されています。

指先や手のひらには青色や紫色の血管が備わっています。その網目のようになっているのが静脈模様です。静脈の形容は人によってまったく異なります。指紋などの認証システムでは、成長や怪我によって形が変わったり、表に出ているため偽造される恐れがありました。

しかし、静脈模様は大きさ以外は生涯変わることもありませんし、身体の中にあるため、他人に形が分かりにくいという特徴があります。まず、利用者は事前にセンター装置で指や手の平の静脈模様を銀行のサーバーに登録・保存しておきます。ATMを利用する際、手のひら静脈認証では手のひらを指静脈認証では指をかざし、登録・保存した模様が合致するかを調べて、本人確認を行います。

また、静脈認証システムに必要な所要時間は一秒足らずと、素早い反応で確認できるのも大きなポイントといえるでしょう。

メガバンクの動向

メガバンクの多くが指静脈認証の採用に踏み切る中、東京三菱銀行が手のひら静脈認証を選択した理由は、指静脈認証システムと比較して、センターに通す面積が大きく偽造が困難であるからとみられています。また、指をセンサーに通すのは、指紋をとられるようで嫌だという利用者の声があったためといわれています。

この他にも業界の激しい主導権争いが絡んでいます。銀行全体としては、指静脈認証でまとまる動きがあったようですが、東京三菱銀行が、スーパーICカードを発行するに際して手のひら静脈認証システムを選択し、他の銀行に先駆ける形でスタートしてしまいました。かつての護送船団時代のような、業界の輪を尊ぶやり方ではなく、自分たちの優位性を際立たせたいという思いに駆られた結果だという声も囁かれています。

一方、静脈認証システムは、暗証番号を使用したそれよりもはるかに安全なのは確かですが、利用者のことを考えるならば、業界全体で早く規格を統一するか、互換性のあるATMを大量に設置したほうが国民にとってメリットがあるといえるでしょう。